スイーツ甲子園優勝記念、全国決勝大会現地レポート

 すでにお伝えしたとおり、今年行われた第4回高校生スイーツ甲子園で、おかやま山陽高校製菓衛生師コースチームが全国優勝し、全国654チームの頂点に立ちました。
 予選から当日までの様子について、詳しくご報告します。
 スイーツ甲子園は、今年で4回目となる、高校生のための製菓選手権。
 オリジナルのレシピにより、3時間の持ち時間内であふれるスイーツを製作し、味と独創性を競います。
 全国を8ブロックに分け、それぞれで予選を勝ち抜いた代表校が、東京お台場のフジテレビスタジオにて決勝戦を戦い、優勝(1チーム)、審査員特別賞(2チーム)が選ばれます。
 おかやま山陽高校からは調理科チームが、第1回、第3回大会に中四国代表として出場しましたが、惜しくも表彰台に上がることはありませんでした。
 今大会では、おかやま山陽高校からは調理科チームと、昨年度スタートしたばかりの製菓衛生師コース1期生チームの、計2チームがエントリーしました。
 今年、中四国大会には87チームがエントリーし、書類審査の結果、地区決勝進出は5チームに絞られましたが、調理・製菓両チームともこれに残ることができました。
 地区決勝は8月4日に倉敷市内で行われ、まさに大激戦でした。

 調理科チームは、二種類のホールケーキを半分に切り、それを一つに組み合わせるという斬新な手法でチャレンジ。

 こちらは製菓衛生師コースチーム。初めての地区決勝ですが順調に進めています。
 完成後、審査員長の林シェフにリーダーが自分たちの作品の魅力をアピールします。

 厳正な審査の結果、この大接戦を制したのは、おかやま山陽高校製菓衛生師コースチーム(チーム名『ともちー』)でした。これにより、ついに全国決勝に進出することが決まりました。

 なお、今回指導に当たってくださったのは、総社市内で洋菓子店「パティスリーシエルブルー」を経営する伊藤嘉弘シェフと、本校教員2名でした。レシピは生徒たちのアイディアに、伊藤シェフから様々なアドバイスをいただき、かなり早い段階で完成していました。私も試食させていただきましたが、思わず顔がほころぶくらい、美味でした。
 でも、今回の勝因は、もちろんこのレシピもありますが、それ以上に、生徒たちの直前の頑張りが大きかったと思います。
 実は、彼ら「ともちー」は、中国大会の直前10日間ほど、夏休み中に関わらず毎日出校し、少なくとも一日1台、多い日は午前午後で2台、本番と同じ条件でケーキを製作したのです。
 この努力こそが、地区決勝での自信につながり、慣れないキッチンでいつも通りの作業が順調にこなせた要因だと思います。
 中四国大会での審査員・林シェフは、ここからは私たちの「応援シェフ」として、全国決勝に向けて様々なアドバイスを下さいます。
 林シェフからは、食感を優先したやわらかいスイーツであるため、カットした際にどうしても先端が垂れてしまうのを改善したほうがいい、とのアドバイスをいただきました。確かに、スイーツは味ももちろん、見た目の美しさも大切です。いただいたアドバイスを参考に、真中にもう一層、スポンジケーキを挟むことにしました。
 さて、全国決勝は9月18日にフジテレビ湾岸スタジオで行われました。ドラマ「高校生レストラン」のモデルになった三重県相可高校や、京都の福知山淑徳高校、そのほか、専門学校の高等科など、全国から強豪が集まりました。
 今回のテーマは「高校生活」。
 おかやま山陽高校製菓衛生師コースでは、今年5月、被災地の釜石高校に対し「自分たちができる支援を」という趣旨で、全校生徒分のマドレーヌを焼いて届けました。これに対し、釜石高校からは、心のこもったお礼状がたくさん届いた。まだ2年生の彼らにとって、震災の記憶と共に、このことが高校生活で一番印象に残っていたのです。
 ベースは、紅茶風味のムースと、アプリコットのムース(パインアップルの果肉入り)の間に、パリパリ食感のチョコレートを挟んだものに、キャラメル風味のソースをトッピングしたもの。

 その上に、被災地に送ったのと同じマドレーヌと、ホワイトチョコレートに被災地へのメッセージとそれへのお返事をパイピング(チョコレートで文字を書く)したもの、2種類のフルーツ、そして、マジパンで作った自分たちの人形を載せて完成です。

 どのチームも意匠を凝らした飴細工やチョコレート細工を製作してきた中、おかやま山陽高校製菓衛生師コースチームの作品は、一見、非常にオーソドックスで地味な作品に見えました。
 でも、地区決勝前後も、夏休み中を使って、毎日1台、多い日は2台、本番と全く同じ環境で製作練習をしてきました。技術ではどこにも負けない自信があります。実際、一つ一つの手順はとても正確で、さすが3人とも、プロを目指しているだけあります。

 さすがに本番で緊張したのか、一ヶ所だけ失敗したものの、なんとかリカバーし、時間内に無事完成することができました。
 審査に入り、日本を代表するトップパティシエ3人が審査員として試食してくださいました。
 彼らがその感想を述べる際、他チームの作品については、「美味しいねえ!」「すばらしい美しさだねえ!」など、いくぶん大仰に褒めたのに比べ、本校の作品については、審査員長がにっこり笑い「やわらかいですねー」と言っただけだったのが印象に残りました。
 また、別の審査員が最後に「もうここにいる全員が、一番おいしいのはどれか、わかっていると思いますよ」と述べられました。
 審査結果は、審査員特別賞(2チーム)、優勝(1チーム)の順で発表されます。
 まず、審査員特別賞2チームが発表されましたが、そこにはおかやま山陽高校の名はありませんでした。この時、名前を呼ばれたチームの選手だれもが、驚いた顔をした後、悔しそうに涙を流すのが印象的でした。誰もが自分の優勝を信じているようでした。ものすごい自信です。
 次にいよいよ優勝チームか、というところで、審査員長から、今回は大接戦のため、審査員特別賞を3チーム選ばざるを得なかった旨が告げられました。
 生殺しです。
 そして、3チーム目の名が呼ばれましたが、やはりおかやま山陽高校ではありませんでした。このチームのメンバーも、やはり悔しそうに涙を流していました。
 さあ、いよいよ優勝チームの発表。会場内の緊張が最大になるなか、優勝チームとして、おかやま山陽高校の名が告げられました。

 本校の3人の生徒たちは一瞬、何が起こっているかわからないような顔をしていました。私は観客席で、思わずガッツポーズをしてしまいました。
 司会のDJ赤坂さんにマイクを向けられたメンバーの一人、荘司さんは、「どこが優勝するんだろう、って思っていました」と、意外さを素直に話していました。
 あとで審査員の方にお聞きしたところによると、勝敗を決めたのは、やはり味だったということでした。
 本校のレシピにはあえてスポンジ生地を使っています。スポンジはオーブンのクセなどで仕上がりにむらが出やすく、実はリスクが非常に高いのです。伊藤シェフですら「自分でもあの雰囲気の中で、いつもと同じスポンジを焼けるとは思えない」と言われるくらいです。その緊張感の中、よく冷静にいつも通りの仕事ができたものだと感心しました。
 やはり、中四国地方の高校では唯一の、厚労省認定製菓衛生師養成施設である製菓衛生師コースで、伊藤シェフをはじめとするプロの先生方によるご指導で身に付けた基礎的な技術力と、これまでの繰り返しの練習の成果が実ったのだと思います。
 こぼれ話を二つ。
 まず、優勝した3人は、来たる3月、優勝賞品としてパリへ4泊6日の研修旅行に出かけます。現地で思う存分、パティスリーやショコラティエブーランジェリーめぐりをしてくるんだそうです。うらやましいですよね!
 もう一つ。フジテレビでの決勝戦の際、観覧席で応援していた伊藤シェフは、最初の1時間が終わった段階で「時間内に完成すれば、本校が優勝しますよ」と私に耳打ちされました。私は、正直、半信半疑でした(というより、後でがっかりしたくないために、あえて信じないようにしてましたw)。さらに伊藤シェフは、全チームのお菓子が完成した時点で「たぶん優勝しましたよ」、さらにさらに、先に紹介した審査員のコメントを聞いた時点では「もう間違いない」とガッツポーズをされまていました。
 やはり、プロにはわかるのですねえ・・・。
 でも、そのおかげで、私は、審査発表が進み、おかやま山陽高校以外の名が呼ばれるたびに、心臓が締め付けられるような気持ちを味わっていました。早く楽にしてほしい、とさえ思いました。
 さて、つい先日、主催者である貝印さんから、優勝の表彰状「貝印三ツ星パティシエ認定状」が送られてきました。

 

 左から、樽角さん、荘司さん、三好君、いずれもおかやま山陽高校製菓衛生師コース2年生です。
 3人とも、厳しい練習と激戦を潜り抜け、本当に自信がついたように見えます。間違いなく、自分たちの手で勝ち取った栄冠です。
 この優勝スイーツ、愛称は「パリじゃネ」と言います。優勝賞品のパリ旅行と、中に挟んだパリパリチョコレートの食感とをかけたものだと思います。
 この「パリじゃネ」をまずは10月29日(土)に行われる本校の文化祭で500食限定で販売いたします。予約等は受け付けませんので、あらかじめご了解ください。
 その次の販売機会は、11月19日(土)、20日(日)の倉敷市にある平松エンタープライズの展示会に販売のお招きをいただいたので、ここでも販売します(販売個数は未定)。
 そして、この「パリじゃネ」を無料でご試食いただける機会が、11月26日(土)におかやま山陽高校で行われる第3回オープンスクールです。御来校いただいた皆様に、このスイーツ甲子園優勝スイーツをご試食いただきます。
 また、この第3回オープンスクールでは調理科OBによります「本マグロの解体ショー&試食会」も行います。
 ぜひぜひ、お越し下さい!(って、最後はPRになりましたw)
 

スイーツ甲子園公式サイト
http://www.kai-group.com/jp/koushien/





浅口市寄島干拓地のアッケシソウが見頃です!

 今朝のニューでも紹介されていました。
 ここ1週間が見頃だそうです。
 週末は守る会のメンバーさんによるガイドもあるそうです。
 ぜひどうぞ。
 *おかやま山陽高校サッカー部では、アッケシソウ自生地の清掃活動に毎年協力参加しています。