6月13日(月) 家庭科校長会

 議題は来年度に岡山県で開催される全国産業教育フェア(さんフェア岡山)と、専門教育としての家庭科教育の今後について。
 さんフェアについては、おかやま山陽高校には工業科(機械科と自動車科)と、家庭科(=調理科。調理を大きなくくりの『家庭』に入れるのは実は無理があるのですが、仕方がありません)の二分野があるので、両方で参加します。製菓は、専門学科的な色彩が強いのですが、現在のところ普通科内のコースとして設置しているので、今回は対象にならないかもしれません。でも、もし機会があれば、何か出したいですね。
 もう一つの専門教育としての家庭科について。これは難しい問題ですね。うちは「専門科=職業科」という視点で課を設置しているので、こういう問題は出てこないのですが。




専門学科とは
 専門学科にもいろいろありまして、工業、家庭、看護などの旧来のいわゆる実業科的なものから、国際、理数など、最近できたポストモダン的なものまで、実に多種多彩です。
 現在、わが国の高校生で、専門学科に在籍している生徒は、全体の2割を切っているそうです。しかし、岡山県では39%で、全国トップクラスです。そう、岡山県はわが国切っての専門教育王国なのです(ちょっと大げさか)。
 本日の会議で問題になったのは、果たして、専門教育としての家庭科において、生徒に何を身につけさせて、どういう方向・分野に送り出してやるか、ということ。
 おかやま山陽高校の調理科の場合、調理科は単純明快。そもそもが「専門学校などの上位校に行かなくても、調理師として必要な資格と技能が身に着き、そのまま社会に出てメシを食って行けるようになる」学科がコンセプト。中学生向けの説明会などでも「料理の専門科を育てるための科」と言い切っています。
 他方で、たしかに難しいだろうなあ、と思うのは、例えば家政科。
 そもそも家政科に対応する職業は、ありません。
 昔の日本では、「主婦」は成人女性の大多数が目指す社会的立場であり、家政科はそれに必要な知識・技術のみならず、良妻賢母としての嗜みなどというものまで網羅して教授する、名実ともに専門学科でした。
 しかし、現在では、ほとんどの女子生徒が、いずれは何らかの職業に就くことを目的にしており、いまや専業主婦は少数派です。
 日本語には「専門学科」という用語のほかに、「実業学科」、さらには「職業学科」という言葉があり、我々はふだん、この3つの用語をきちんと整理・区別しないままに使っています。これが問題をさらに複雑にしているような気もします。お互いに意味が重なっているため、これをきちんと分けるのはなかなか難しいです。
 今後「専門学科」としての家庭科がどういう方向に行くべきか、という問題を解決するには、「そもそも専門学科(専門教育)とは何か」という問題を先に整理・解決する必要があるのかもしれません。