4月25日(月) 雷で生徒朝礼中止

 今朝は驚きましたねえ。おかやま山陽高校はかなり近かったです。
 雷はいつどこに落ちるか予測できませんので、こういう場合は屋外での活動はできるだけ避けるようにしています。
 しかし、昨日の雹といい、おかしな天気が続きます。



結果的にみんなが得する方法とは?

 高校の定員に対して何人の生徒が在籍しているかの割合が「定員充足率」です。100人の定員に対して生徒が100人いれば100%、90人いれば90%になります。これはその高校の人気度を表す指標とみられることもあります。
 先日発表された岡山県高教研の第一次提言によると、県全体で私学は定員を十分に充足しておらず、今後、私学が定員を確保できない状態が続けば、私学の定員を減らす措置も必要、との見解が示されていました。また、審議の過程では、この原因を私学の努力不足と表現することもあったようです。
 これは私学にとってはちょっと厳しすぎる意見です。
 公立高校が無償化され、私学に通う家庭にも就学支援金が給付されるようになりました。私立高校の保護者の立場からはたいへんありがたいことなのですが、私立高校の立場からは、そうとばかり言えない部分もあります。
 公私立間での学校納付金格差は、これまで約5倍でしたが、今回の公立無償化により、計算上の差は無限大にまで広がってしまったことになるのです。
 ですから、公立に比べて私学が定員を満たしていないといっても、少なくとも互角の条件での勝負の結果ではないことは明らかです。
 また、私立高校の努力不足など、公私立両方の実情を知っている者からすれば、考えられません。本校でも、高校受験時に県立高校を失敗したものの、その雪辱を3年後の進学や就職で果たした生徒を、私は毎年見ています。私立高校の先生たちは、一生懸命頑張って生徒を「伸ばして」います。
 全国の都道府県で、先頭を切って私学支援に力を入れているのが、大阪府です。
 大阪府の平成23年度の支援制度をザクッとまとめると、次のようになります。
 大阪府では、国の修学支援金と府の授業料支援補助金を合わせると、年収610万円未満(実際には市町村民税所得割額を基準にする)の世帯は、公立と同じく自己負担0円で私立高校に通えます。また、同じく年収800万円未満の世帯は、年間約10万円で済みます(もちろん、制服代や修学旅行積立金などは別です)。
 これにより、大阪府の半数の世帯は自己負担ゼロで、私立高校に子供を通わせることができます
 財政的には決して余裕があるわけではない大阪府が、どうしてここまでの支援をするのでしょうか。
 実は、この制度の狙いは、単に私立高校を応援するためにあるのではありません。
 まず、高校は義務教育ではありません。だから、どこの学校に通うか、生徒自身と保護者が選べるのです。でも、今の状況下では、経済的な理由によって私立高校をあきらめなければならない子は決して少なくありません。
 こういう制度ができることによって、子供たちは、高校選びに際して、もう家の経済状況を気にして遠慮したり、夢をあきらめたりしなくていいようになります。
 次に、公立高校が一人の生徒を教育するために必要とする経費は、年間約110万円です。それに対し、私立高校は、約85万円で、同じか、それ以上の教育効果を生み出しているのです。経済効率としては、明らかに私立高校の方が優れています。
 公立高校の運営経費も、私学に通う子の保護者に支給される授業料支援金も、財源は同じ住民の血税です。公立私立のどちらに重点的に支出した方が税金の有効利用につながるかは、説明するまでもないでしょう。
 さらに、この政策には、私立と公立の両方を同じ土俵に乗せ、より近い条件でお互いに切磋琢磨し、結果として、大阪府全体の教育レベルを上げるという効果があります
 個人的には、この最後の点に気付いたことがいちばん素晴らしいと思えますし、大阪府民の皆さんが、うらやましく思えます。
 公立に通う子も、私立に通う子も、次の世代の地域を担う、地域の宝です。公立私立にこだわらず、その地域の高校とそこに通う子供たち全体が元気になることこそが、彼ら子供たちだけでなく、近いうちに彼らにバトンを渡し、彼らに養ってもらうことになる私たち大人の世代にとっても、一番の幸せだと思います。
 今のような先の見えない時代に求められているのは、このような大所からの発想、そして、それを実行に移す判断力、さらには、その効果を期待して待つという懐の深さではないでしょうか