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1月18日(火) 調理科2年の調理実習にサメ出没
サメといいましても、チョウザメ。軟骨魚類に分類される海の鮫とは何の関係もない、おもに淡水棲の硬骨魚類です。ただ、生物種としての歴史が古く、いわゆる生きた化石と称されることもしばしば。
そのチョウザメが、新見から丸ごと1匹、届きました。
ちょうど本日はおかやま山陽高校調理科2年生対象の和食の調理実習がある日です。
講師の桃井先生(割烹桃井オーナー)にお願いして、生徒への実演を兼ねて、実習中にさばいていただきました。生徒にしても、なかなかこんなもの扱う機会ないですものね。
今回届いたのは、全長1mほどの個体。口髭を生やし、鼻先がとんがった、ややグロテスクな風貌に、生徒も興味津々です。
ちょうど今日の食材がコイだったため、今日は淡水魚尽くしですね。
桃井先生は「私もチョウザメを扱うのは初めてですよ」とおっしゃりながら、すいすいとさばいていかれます。桃井先生によると「どの魚も体のつくりの基本は同じ」だそうで、さすがプロ。
3枚におろした段階で、「小骨がないですねえ」と桃井先生。多くの魚には背骨から体側方向に走る、いわゆる小骨があるそうなのですが、チョウザメにはまったくありません。きれいなフィレです。
いちばん腹側の腹ビレのあたりの身をそぎ取って、さらに背と腹に二分割し、皮を引いて、変形5枚卸の完了。
この腹ビレあたりについている身が、いわゆるトロのような食感で、一番おいしいのだそうです。
料理法は、まずはもちろん、お刺身。弾力ある身ですので、フグやヒラメのように薄造りにするといいそうです。
あとはから揚げなどもおいしいそうですが、やはり食感がフグと近いからなんでしょうね。
お昼の検食(試食)の時に私もいただきました。
今日はとりあえず、お刺身です。身は、白にほんのり飴色が入った綺麗な色です。食べてみると、ものすごい弾力。そして、強い甘味。やはり薄造りで正解ですね。腹ビレ付近のトロに例えられるの部分は、コリコリして、脂がのっていて、超美味い。トロというより、むしろヒラメのエンガワのような食感でした。
あの外観からは全く想像もできませんが、本当にとろけるようにおいしいのです。
それと、淡水魚なのに、まったく臭みがありません。これも驚きでした。
本来の本日の食材であるコイは、洗いでいただきました。氷水で洗って引き締めた身に酢味噌を添えて、あえて残した小骨がコリコリと歯に楽しい食感です。これも美味。
淡水魚はふつう匂いがあるので、このように氷水で洗って〆ることで、臭みを抜きます。その点、チョウザメは、まったくそういう必要性を感じません。
さらに、資料によると、チョウザメにはEPA,DHAなどの高度不飽和脂肪酸がほかの魚に比べて多く含まれており、動脈硬化予防などに効果があるとか。
身体によくて、味も最高。これは「皇帝の魚」という漢名が付けられるのもうなずけます。
今度生徒たちにも味の感想を聞いて見ようと思ってます。
ところで、チョウザメといえば、キャビア。キャビアはどこに行ったのでしょう?
実は、本日届いたのはオスの個体です。キャビアを持ったメスの個体は、一匹10万円以上するのだそうです。でも、これでも製品化されたキャビアを買うよりかなりお得なのだそうです。
とはいえ、オスもキロ当たり数千円するので、これはこれでとても贅沢な高級食材なのです。
新見市では、新たな地場産業の活性化の切り札として、チョウザメを養殖しています。新見市は、水が冷たくてきれいなので、チョウザメ飼育にはうってつけなのだそうです。最近では新見産キャビアもブランド化しつつあるそうです。
今回のチョウザメは新見市にある養魚場『とと愛ランド』さんから送っていただきました。身を食べるには〆てから36時間くらいたったものが一番おいしいそうで、今回も調理実習の時間に合わせて〆て、血抜きをしたものを送ってくださいました。こちらもプロですね。
もちろん、1mものチョウザメをご家庭で捌くことなどなかなかできませんが、新見市内に行けばチョウザメ料理を食べることができる飲食店もあるようですよ。