おかやま山陽高校吹奏楽部 アメリカ演奏旅行2008
12月14日七日目


 シアトルに降った昨夜からの雪は、幸いにも、交通を麻痺させるほどには積もりませんでした。
 それでも、一時はブリザードと言ってもいい状態になり、今朝のシアトル市街は一面の銀世界です。ビューチホーです、ビューチホー。


地元の人も、『こんなことはめったにないよ』と驚いていました。
 路面は、とくに北側の斜面でカチカチに凍っています。ホテルからガーフィールド高校に向かう途中、何台もの車が坂道の途中で立ち往生していました(シアトルは坂の多い町なのです)。


 午前8時。ちょっと早めにガーフィールド高校に着くと、もう駐車場にはたくさんの生徒とホストファミリーの皆さんが集まっています。みんな、雪の影響を見越して早めに家を出たのでしょう。


 ウエストシアトルから来られたあるご両親は、『うちのあたりじゃ、雪が7センチ以上も積もってて、運転が恐かった!』と言われていました。
あちこちで、送ってきていただいた家族の皆さんと、ハグしたり、握手したり、涙流したり、さまざまなお別れの光景が見られました。今朝はもう、どのご家庭のお父さんお母さんも、おかやま山陽高校の生徒のことを「うちの娘」、「うちの息子」と言ってはばかりません。


 やっとクインシー・ジョーンズ・ホールの入り口が開き、昨夜の遣り残しのパッキング作業を再開します。上級生の鋭く、的確な指示が飛び交います。
 予定していた9時半にはパッキングは無事修了しました。
 3台の『リモ』タイプのバス(『リモ』とは『リムジン』の略で、いわゆるボンネットバスのことです)に分かれて乗って、シータック空港へ向かいました。
 途中、先頭のバスが坂道を下りきったところの交差点で、赤信号で止まろうとしたとき、スリップしてしまいました。さいわい交差点の直前で止まりましたが、女性の運転手はえらくはしゃぎまくっていました。
 ガソリンスタンドの看板があったので、見てみると、ガソリンの値段は日本のちょうど半分くらいです。うらやましいと思いましたが、これでもこっちではまだ高いのだとか(一番高いときは日本の安いときと同じくらいのレベルまで行ったそうです)。
 シアトル・タコマ国際空港(これを略してシータック空港というのです)に到着して、まず荷物のチェックイン。もともと楽器が重いのに加え、物より思い出、とばかりは行かないようで(あたりまえですが)、自分で買ったり、ホストファミリーに持たせていただいたお土産が、山のように増えています。
 と言うわけで、どのスーツケースも、規定の48ポンド(約23kg)を多少オーバーしてしまっているのです。
 もちろん、超過料金を払わなければならない場合もありますが、それで済めばまだ良いほうです。実は、今回、それですまなかったことが後ほど分かるのですが、この時点では誰も知る由もありません。
 さて、なんとかチェックインが終わって、いよいよ搭乗。
 その前に、シアトルでの1週間の間、いろいろとお世話になった現地コーディネーターのSさん、F子さん、Eさんの3名に部長からお礼のご挨拶。本当に、きめ細かい対応を頂き、助かりました。ありがとうございました。
 


 今日の航空機はチャーター便だそうです。だから、ちょっと小さめ。尾翼にイヌイットのイラストの入った、その名も「アラスカ航空」。雪に強そうな気がします。


 ちょっと時間がかかっているような気はしましたが、雪の影響もあまり感じないまま無事飛び立ち、うとうとしていると、機内アナウンスからどこかで聴いた声が。
 「おかやま山陽高校吹奏楽部のみんな、この飛行機のスタッフの方々が、みんながあまりに礼儀正しく、きちんとしているのに感心されたそうで、そのことをみんなに伝えてほしいと言うことでマイクを頂きました」。
 松本先生でした。今まで、いろいろな学科コースの修学旅行で、「こちらの生徒さんはきちんとしてらっしゃいますね」と個人的に伝えられたことはありましたが、マイクをまわしていただいたのは初めてでした。さすが、おかやま山陽高校吹奏楽部。
 飛行機は2時間弱でロス到着。実にあたたかい!



 空港警備の警官が、腰に拳銃ぶら下げて、セグウエイに乗ってる!さすがアメリカ!
 で、ここで問題が。
 いくら待っても、一部の荷物(20個ほど)が出てこないのです。


 いろいろ確認したところ、われわれの荷物(特にパーカッション)があまりにも重すぎ(合計300kgほどあるそうです)、飛行の安全面で不安があったとのことで、荷車ひとつ分、シアトル空港に置いてきた、とのことでした。
 離陸前の待ち時間はこれだったのですね。
 仕方ないので、全員ホテルへ。
 ホテルに向かうバスの中、ロス名物、在中添乗員の柳沢教授の軽妙なしゃべりに爆笑。特に相賀先生のつぼに嵌ったようです。
 6時半頃ホテルに到着。クラリオンホテルです。


 部屋割りの後、夕食です。
 ロースとビーフ、サーモン、ポテト、サラダ、ケーキ、なんやかんやのバイキング。うちの生徒達はみんな良く食べるので可愛いです。


 中には、最初からケーキを確保している生徒もいましたよ。



 ところで、チョコレートケーキの場合、日本だと、チョコ味のスポンジ生地の上にチョコクリームが乗ってますよね?アメリカの場合、ブラウニーの上にチョコクリームが乗っているのです。
 食事後、明日のミーティングが終わり、生徒は各自、お部屋へ。今夜はゆっくり寝てください。明日はハイライトのディズニーパレードです。
 唯一の心配は、天気。でも、よほどのことがない限り、決行するつもりです。
 ここで、積み残しの荷物が無事ロスに到着したことが確認できた、とのうれしいニュースが。午後11時にはホテルに届くそうです。これで一安心。
 本当に、よかったです。実は、ロスのバゲッジクレイムのターンテーブルに、『インチョン行き』の荷物が残っているのを見かけた人がいたもので、ちょっと心配していたのです(ちなみにインチョンは韓国の新国際空港の名前です。どんな大暴投やねん?)
 今日最後の一枚は、カメラクルーのMさん。なんでも、搭乗券に記載されていた氏名が、先方の手違いで女性名になっており(女子生徒の名前だったようです)、手荷物検査で怪しまれ、かばんの底の底まで漁られたそうです。


 ところで、あらかじめお断りを一点。
 明日のパレードの様子ですが、すべての予定終了後、ホテルに帰着するのが深夜になりそうです。あさっての朝は午前6時起床ですので、もしかすると、パレードの様子のアップデイトが帰国後になるかもしれません。わたくしもいい年ですので、ご理解いただけますよう、あらかじめご容赦ください。