おかやま山陽高校吹奏楽部 アメリカ演奏旅行2008
12月13日六日目


 生徒たちの日ごろの行いがよほど良かったのか、幸いにして、昨夜から今朝までの間は、雪は降りませんでした。まだまだ油断はできませんが、とりあえず今夜のメインコンサートにお客さんが来れない、と言うことだけはなさそうです。
 本日午前中は、シアトルに来て初めてと言っていい、オフです。
 ですから、昨夜はかなり遅くまで、ホストブラザーやホストシスター達にいろんなところに遊びに連れて行ってもらった生徒も多かったようです。シアトルの人たちは、もともとかなり宵っ張りだそうです。
 そのためか、今朝はかなり遅くまで寝ていた生徒も多かったようで、中には、朝ごはんを食べそびれた子も。
 逆に、夕ご飯が美味しくて食べ過ぎた人も。
 今朝は1名、腹痛を訴えた生徒が出ましたので、相賀先生とF子さんが付き添って病院に診察にいってもらいました。お医者様からは幸い、たいしたことはない、との診断を頂きました。
 午後1時、ガーフィールド高校の音楽室に集合。


 が、ここでやはり日本との感覚の違いがあるようで、全員が集合したのは、1時半前。これは保護者の方に送っていただく関係上、仕方ありません。『アメリカ人時間』といいますか、むしろこちらでは、時間通りにかっきり到着するのが『日本人時間』として特別視されるとか。
 ここからいよいよ「クインシー・ジョーンズ・ホール」に入り、リハーサル。



 あまり時間がありませんから、要所要所に集中して、とくにホールの特徴上、変更を要するところを綿密に行います。
 リハーサルが予想以上に長引き、午後4時に予定されていた食事(昼食と夕食をかねたもの)が、結局、6時前になってしまいました。


 メニューは日本食のお弁当。白米にとんかつ、コロッケ、鶏肉と厚揚げともやしの煮物、野菜サラダ、そして、黄色い沢庵。
 日本のお弁当との最大の相違点は、おかずとお米のバランス。とにかく、おかずが多い。お弁当を持つと、ずっしりと重い。でも、完食。


 お弁当が終わると、時刻はもう6時半。
 外の気温はぐんぐん下がっていきます。
 開演15分前、会場内はすでに満席。
 ここで、北米報知新聞社の記者の方が取材に来てくださいました。この方は、3年前のミーニーホールにも来てくださった方です。
 そして、開演。
 まずはツタカワ先生のご挨拶から、ガーフィールドコンサートバンド、続いて、ガーフィールドオーケストラバンドの演奏。


 コンサートバンドは『Chaconne in E minor』と『Jubilee』を、オーケストラバンドは『Le Preludes, Symphonic Poem No.3』(分かりやすく言えば、伊丹十三映画「タンポポ」のテーマ曲です)を演奏しました。やはり、ストリングスの重厚な響きは独特のすばらしさがありますね(といいつつ、頭の中はずっと、山崎努宮本信子のイメージでいっぱいでした)。
 ガーフィールドの演奏が終わると、インターミッション。ロビーではガーフィールドの保護者の皆さんが、お菓子とお茶で接待してくれます。すごい人です。
 ここで、背後から『スミマセン』と声をかけられました。
 振り返ると、ワシントン大学音楽学部のティム・サルツマン教授でした。お忙しい中、来てくださって感激です。
 演奏再開、いよいよおかやま山陽高校の出番です。前半に出演したガーフィールドの生徒達も入室し、通路まで人が座っています。
 最初は『ワンオクロックジャンプ』から。
 続いて、『セブンズ』。ここですでにスタンディングオベイション。
 曲はコーラス曲『手紙』、『かわせみ』、『アヴェマリア』、『ボレロ』、『サリュート・トゥー・アメリカンジャズ』と続きます。

 曲が終わるたびにものすごい歓声と、スタンディングオベイション。
 生徒達も、満面の笑顔で応えます。

 最後、『マンボのビート』が終わり、コンサートが終了しても、なかなか観客の皆さんが立ち去りません。
 スタンディングオベイションのまま、「ワンモア!ワンモア!」のコールが止みません。
 マーカス先生から『みなさん、おかやま山陽高校の生徒達がロビーで皆様にお別れします』とアナウンスがあって初めて、みなさん、移動を始めてくださいました。
 ロビーに出てみると、なんと、外は大雪。『クインシー・ジョーンズ・ホール』の駐車場にはすでに雪が積もり始め、停めてある車も雪だるまのようです。


 ロビーでは、応援に来てくれたホストファミリーと抱き合うおかやま山陽高校の生徒の姿があちこちで見られました。
 ホームステイを始めてわずか2日目の姿とは思えません。


 いろんな人が声をかけてくれます。日本でお会いした引率の方もおられますし、初めてお会いする方も。
 「今日もいつもどおり、良かったよ!」って、もう常連さんですね(信じられますか?日本の高校生バンドに、アメリカ人の常連さんがいるんですよ!)。
 「なんかわかんないけど、涙が止まらなくて・・・。」って、私もそうです。
 日本の高校生が3年一度やってくるのを心待ちにしているアメリカの人々がいて、実際に来たら来たで、彼らの演奏を聞いて、ただただ涙を流している・・・。こういう事態ががアメリカの西海岸で起きている、このことをCNNは知っているのでしょうか?これはもう異常事態ですよ。
 もううちの生徒達、本当に愛おしいです。みんな、今夜、ほんとうにすばらしかったよ!アメリカの皆さんに、ものすごい感動をプレゼントできたんだよ!
 コンサートは例によって、全体的に時間が押してますので、急いで後片付け。
 何と言っても今日はシアトルでの最後の夜です。少しでも長く、ホストファミリーに皆さんと時間を過ごしてもらいたい。
 さらに、この雪。早く帰らないと、道路が凍ってしまう恐れがあります。
 明日はこの雪と荷造りの便を考えて、ちょっと早め、8時半の集合です。遅れないように、今日は早く寝てくださいね。