sanyomomotaro2007-02-13

調理科3年生、順調に欧羅巴横断中

 調理科3年生の生徒たちは、みんな元気でロンドンからパリへと移動しているようです。
 今回の目玉の一つが、高速鉄道TGV。イギリス風にティージーヴイと読むのか、それとも、フランス風にテジェヴェと読むのかは、自由だーっ!このTGVを元に開発されたのが、ユーロスター。いわゆる欧州横断新幹線です。
 ユーロスタードーバー海峡の海底トンネルにより、イギリスからヨーロッパ本土に直接乗り入れることができます。調理科3年生の生徒たちは、生意気にも、このユーロスターを使ってロンドンからパリに移動したのです。私も乗ってみたい!
 しかし、いいことばかりではありません。昨日、EUの通貨であるユーロが、円に対して市場最高値を更新しました。これはつまり、いわゆる『ブランドもん』を買うタイミングとしては、現在は最悪ということです。
 このことは出発前にある程度わかってましたので、説明会のときにも生徒たちには「今回の旅行の目的を買い物にすると、損するよ。むしろ体験を目的にして、そのために事前によく予習をしといたほうがいいよ」といってあります。でも、買ってくるんだろうなあ。
 いずれにせよ、一生に一度しかない経験ができることが定評のおかやま山陽高校の調理科のヨーロッパ研修旅行。いい意味で「旅の恥は掻き捨て」を励行して、思い出深い旅にしてほしいです。

 http://www.okayama-sanyo-hs.ed.jp/chouri/excursion_h18/excursion_chouri_h18.html



モンゴル紀行 〜やつらの足音のバラード〜 終章

 モンゴルでの4日間は、好奇心を強く刺激するものだった。アメリカや欧州を訪れた時とは全く異なる、本当の異国に来た感動が味わえる。むしろアフリカのケニアで感じた印象に近い。同時に、モンゴルは、随所にわれわれ日本人との接点を見出させてくれる。
(実際、ナイロビとウランバートルは、標高1500mの高原地帯での遊牧社会という意味では、実は非常に共通点が多い。相違点は、移動式の家の材料が牛糞か羊の毛か、そして、道端を歩いているのがシマウマか、羊か、だけである)。 
 そして何より、モンゴルは、桁外れに広い。『広い』という言葉の概念が変わるほど、広い。
 今回、記録用にデジタルカメラを持っていった。最短18mmのズームレンズをつけていった(35mmフィルム換算で28mm相当くらい?)が、とてもではないが、モンゴルの平原の広さを伝える写真は撮れなかった。かといって、ビデオカメラでぐるりと撮影したところで、奥行きは出ないだろう。
 結局、その場に自分の足で立って、見える限りの遠くまでを自分の目で見るしかない。『筆舌に尽くしがたい』、という表現がそのままあてはまる。
 この大地の広さそのものが、モンゴルの最高のもてなしであり、私たち日本人にとっての最大の価値なのだと思う。「地球って、こんなに広かったんだ…!」と素直に驚くことができる。
 さらに、冷たく清涼な風が心地よく肌に触れる。深呼吸が最高のご馳走である。
 こんなに簡単に感動して、なんか、くやしい。でも、すばらしい。この景色と空気を前に、チャブチャブと小理屈で抵抗しようなんて気持ちは起きない。「もう、どうにでもしてください」という気持ちになる。
 もちろん、変革期を迎えているだけあり、モンゴルにも、ウランバートルの都市部を中心に深刻な社会問題がたくさんある。その最たるものは貧富の格差、そして文化変容(文化の多様性の喪失=西欧化)だ。
 しかし、モンゴルでは他の途上国で感じがちな悲壮感があまり感じられなかった。
 その一つの要因として、先進国から訪れるわれわれに対する過剰な期待感や、押しの強さ、媚びといった途上国特有の応対を受けることがほとんどなかったという点がある。
 もちろん、内心、野心や下心を持っている人もいるのだろうが、モンゴルの人々特有の恥じらいと遠慮が邪魔し、それがあまり表に出てこないのかもしれない。
 二つ目の要因として、様々な社会的な取り組みや、人々の夢や望みなどを見聞きするにつけ、この国の将来に明るい展望が見えるように思えた、という点がある。
 マンホールチルドレンの孤児院にしても、子どもたちの様子はもちろん哀れみを誘う。しかし、そこでの取り組みは、先に自由化した諸国の不幸な先例を教訓とした、同じ轍を踏まないための予防的努力であった。これらの試みがうまくいけばいいと思うし、実際、上手くいきそうな気もする。
 ただ、韓国資本の進出を始めとして、モンゴルを商売にしようとの動きは非常に急速に進んでいる。アメリカから、モンゴル国内に基地を作りたいとの打診もあるらしい。日本も観光資源としてだけでなく、広大なゴビに埋まる鉱物資源をにらんでの外交を展開している。
 その結果、雇用不足などは解消されるかもしれないが、物価は確実に上昇し、同時に消費社会化は急速に進展するだろう。
 そのため、10年後、モンゴルがどのような姿になっているか、想像もつかない。だから、太古と変わらぬ自然風景や素朴な遊牧民の生活を見聞きする目的でモンゴルを訪れるならば、できるだけ早く行ったほうがいいかもしれない。
 圧倒的な景色、我々と同じ民族的・文化的遺伝子との出会いなど、一生記憶に残る度になることはまちがいない。

*写真;自動車の部品で作ったリアカーを馬が引く。左側の少年はスキタイの戦士の末裔か、きれいな金髪。モンゴルの歴史と現在をまとめて象徴する写真だと思いませんか。