sanyomomotaro2007-01-09

年始のご報告 〜桃太郎練成大会について〜

 やっと始まりました、3学期。久しぶりに生徒たちの顔を見ました。元気そうで何よりです。
 始業式では、まず、校長先生の式辞がありました。
 ある欧米人から「日本の高校生たちはなんであんなに忙しそうに携帯電話を操作し続けているのですか」とたずねられ、答えに窮してしまった、というエピソードから始まりました。
 逆に「欧米では高校生はこんなことしていないんですか」と聞き返したところ、「あたりまえでしょ。お金もかかるし、時間も無駄になりますから」と返されたとのことでした。
 日本では当たり前になっているようでも、ちょっと視点を変えてみるとおかしなことがあるのでは、というお話でした。そして、おかやま山陽高校の校訓の第一番目、「自律創生」になぞらえ、周りがしているからといって自分もそのとおりに振舞うのではなく、自分で自分の行動をコントロールし、自分しかできないことを生み出してほしい、と締めくくられました。
 続いて、表彰伝達式。今日は桃太郎練成大会の1年生大会で3位に入った空手道部女子団体組手と、アンサンブルコンテストの県大会を突破した吹奏楽部の打楽器8重奏と金管8重奏。


桃太郎練成大会について
 
 ところで、この桃太郎練成大会は、意外と知られていないのですが、実は、おかやま山陽高校が発祥の全国大会なのです。
 いまから20年以上前、おかやま山陽高校の空手道部が、なんとか全国大会に出場したいとの願いから、お正月休みを利用して九州にある空手の有力校を訪れて練習会をしたことがきっかけなのです。その年、おかやま山陽高校の空手道部はみごと全国選抜大会に出場を果たしました。
 すると、このうわさを聞きつけ、多くの高校の空手道部が「自分たちも新春の練習会に参加したい」と打診してきたのだそうです。
 そして、関係者で相談した結果、日本のど真ん中にある岡山で、本校を拠点に全国の高校の空手道部が集まり、いっしょに技を磨く会を行おう、ということになったのです。
 最初はおかやま山陽高校の教室に貸布団を持ち込み、遥照山の簡易保険宿泊センターのお風呂を借り、会場はおかやま山陽高校の体育館と、まさに手作りの会での出発でした。
 予算がありませんから、練成大会での優勝者への賞状はわら半紙で手作りし、優勝商品には引率の先生方が全国から持ってきてくださった手土産のお菓子を充てました。また、夜は寄島名産の牡蠣を焼いて引率の先生方へのせめてものもてなしとしました。
 参加者は毎年増え続け、それに従って事務手続きなどの準備の仕事も大幅に増えました。そして、ついに参加者がおかやま山陽高校の体育館では収容できなくなりました。
 そのため、岡山県高体連空手道部にお願いして主催を移管し、おかやま山陽高校は主幹校として裏方に回ることになりました。
 そんなこんなの経緯をたどって、今年で20年。やっと成人式。
 文字通り草の根で始まった練習大会が、さまざまな人たちの力に支えられ、いまでは、空手道の世界では全国4大大会のひとつに数えられるまでになりました。また、この桃太郎練成大会での結果が、3月末に行われる全国選抜大会での結果を占う、との定評も根強くなりました。
 これを奇跡といわずして、なんと言いましょう。
 以上、桃太郎練成大会の来し方をざっとご紹介いたしました。
現在、おかやま山陽高校は主幹校という立場にありますが、県内外の関係者の皆様の応援をいただきながら、実際には運営のほとんどを一手に引き受けています。申し込みの受付はもちろん、会場設営から当日の運営にいたるまで、おかやま山陽高校の空手道部、そして、空手道部保護者会、さらにはおかやま山陽高校吹奏楽部の諸君が担当しています。
 それでいながら、大会で成績を出さない限り、ほとんど表に名前が出ることもないのです。
 これぞまさに、先日のゼロハン大会のご紹介でも申し上げました、陰徳というもの。(実は、あの全日本高校生ゼロハンカー大会も、この桃太郎練成大会続け、ということで始めたものなのです。)
 でも、今年は20周年ということで、山陽新聞運動部さんがすばらしい記事を書いてくださいました。
 記事の中にもありましたように、私たちは、今後も桃太郎練成大会が、空手好きの高校生ならば誰でも自由に参加できるオープン大会として、言い換えるならば、空手好きの高校生のための『天下一武道会』として、30年、40年と続いてほしいと願っています。