sanyomomotaro2006-12-11

修学旅行 現地即時リポート

 今年も始まりました、修学旅行。
 今日は既に機械科・自動車科の2年生総勢90名が香港・シンセンを、公務員・資格コース2年生の18名がタイのバンコクを旅行中です。また、今朝9時ごろ、普通科スポーツコースの3年生37名が、グアムに向けて出発しました。
 香港・シンセンについては、すでに現地の様子が写真と文章で送られてきています。おかやま山陽高校のホームページにアップしてありますので、ご覧下さい。表情まで見えます。
他の科・コースの修学旅行中の様子も、データが届き次第、順次アップしていく予定です。
ほんと、すごい時代ですねえ。

おかやま山陽高校修学旅行現地リポート
http://www.okayama-sanyo-hs.ed.jp/others/others_excursion_h18.html



モンゴル紀行 〜やつらの足音のバラード〜 ⑦  *画像はモンゲネ学校の日本語専攻の生徒たち。

 いよいよモンゴルでの最終日。
 といっても、フライトは夜中。それまでこのフラワーホテルで仮眠が取れるように部屋はキープしてくれている。今日中に残り全ての訪問・視察予定をこなさなければならない。けっこうハードな一日になる。
フラワーホテルのレストランは和、洋、中あり、朝食はそれらを持ち回りで充てる。この日は中華。我々の行った時間が遅めだったこともあり、品数は少なめ、味はまあまあ。
食事後、最初に向かったのがモンゴル自然史博物館。ここはモンゴルの自然一般についての学問的総本山。
 ただし、設立が古いため、展示内容の凄さに、展示方法が追いついていない印象。
 特に恐竜の化石のレベルの高さはすばらしい。プロトケラトプス類の子育ての様子をとどめた化石、プロトとヴェロキラプトルが噛み合ったままの化石など、聞くとモンゴルの国宝に指定されているものも多いとか。
 いちばん興味を惹かれたのは、正体不明種の巨大なカギ爪をもった前肢(腕)の化石。前肢だけで2m以上もある。帰国後、専門科に尋ねると、テリジノサウルスの化石だとういう。ただし、このテリジノサウルス、ここにある前肢しか見つかっておらず、全体像は謎。見た感じ、ラプトルなどの敏捷な肉食の捕食恐竜に似ているが、このサイズをそのまま当てはめると全長は10メートル以上になる。
 専門家の間では、「独立したグループに属する、異常に巨大な前肢を持つ、雑食性の恐竜」とされている。いずれにしてもマニアにはたまらない展示物が、さりげなく陳列されている。
写真を撮るのには約500円の料金(ドネーション)が必要。迷わず払う(が、警備員はほとんどおらず、何のために払ったかわからない状態だった)。
 そのほか、現生生物の展示は、『旧校舎の理科室』か『秘宝館』といった趣。頭の中をなぜか筋肉少女帯の音楽が流れる。
 結局、高校生が楽しめるのは、恐竜の部屋(3〜4部屋)くらいだろう。が、くどいようだが、好きな者にはたまらないだろう。
 続いて、車で3分足らずのところにある民俗博物館へ。ここはリニューアルされたばかりで、展示内容、手法ともに先進的で垢抜けている。
 古代から現在まで、モンゴルの歴史や習俗・生活の変遷を、チンギスハーンの系譜を中心にすえて展示している。
 そこここで、日本との接点が見られ、面白い。やはり、モンゴルと日本と歴史は、決していいものばかりではない。しかし、モンゴルの人々は日本に対して好印象を持ってくれている。それが不思議と言えば不思議。
 ここでいちばん面白かったのは、数百年前の革製の馬乳酒袋。これが、昨夜、フラワーホテルのバーで使っていたものとまったく同じ。ひしゃくまで、同じ。時間の流れススピードは、地球上で一定とは限らない。進化・進歩主義も一つの方向なのだろうが、状況さえ許せば、こういう「変化しない」という選択もあるんだなあ。昔読んだR.ドーキンスの本の内容を思い出した。
 この博物館、内容は盛りだくさん。できれば最低1時間半は時間を割きたい。それから、ある程度の基礎知識があったほうが、より楽しめる。そのため、高校生の場合、ある程度の事前学習が必須でしょう。
 次に向かったのが、いよいよ学校。
 ところで、モンゴルの学校は小中高に分かれていない。一つの学校に11年または12年一貫で通う。
ただし、学校ごとに数学や科学、英語と様々な得意分野を掲げており、希望に応じて転校することが多い。公立学校は基本的にナンバーで呼ばれる。私立学校もあり、学費格差は余りないらしい。
一部、エリートや有産階級のための名門校も存在するそうだ。
 また、モンゴルには大学が国公私立あわせて170もある。人口250万人に対して、大学が170項。なんと言う、割合!
 このため、経済的に可能な者はほとんどが大学に進学する。いい大学をでていることが、いい職場への切符となるのだそうだ。いわゆる学歴インフレ状況がある。
 さらに、モンゴルでは飛び級制度が普及しており、全体の30%が飛び級を経験する。2年以上飛び級することも珍しくない。我々の現地ガイドのゾラーさんは、このとき大学2年生だが、まだ17歳。彼女は2回、飛び級をしたのだ。
 ただし、飛び級には2種類あり、実力で飛び級する者と、金銭を支払って飛び級する者がいる。
ゾラーさんは実力での飛び級とのこと。道理で切れる訳だ。
 さて、我々がお邪魔したのは、MONGENE(モンゲネ)学校。
 公立でありながら、独自の教育プログラムを掲げる、先進校。現在の校長が15年前、企画書を作って教育省に提出し、それが認められて設立したとのこと。
 校長は現在53歳で、昨年度、モンゴルの勲章である「金の星賞」を受賞した。バリバリのやり手らしい。
 モンゲネとはモンゴルの遺伝子(Gene)の意味。芸術や実業(自動車整備もある)、日本語の集中講座など、従来は私立にしかなかったプログラムを積極的に取り入れている。特に芸術分野ではモンゴルの現代アートの第一人者を教師にしている。彼は数年前、日本でも個展を開催した実力者である。
 この時は校長秘書のトヤー先生(日本語教師)が案内してくれた。日本語教師は全部で4人おり、みな流暢な日本語を話す。トヤー先生は日本の大学に2年ほど留学しており、ほぼ同時期、私と同じ市内に住んでいたことが判明。一気に親近感が増す(元祖油ラーメンの『珍珍亭』はご存知なかった。残念)。
 持参した学校案内で、おかやま山陽高校の多彩な学科・コース展開やマイスター・スクールスクールなどを見て、「なんか、お互い、似てますね」。「いつか、ぜひ学校同士で交流しましょうよ」、と盛り上がった。
 見学後、玄関を出たところで、日本語専攻の女子生徒(中学生くらい)4人が、浴衣を着て見送りに来てくれた。これが、かわいいの、なんの。浴衣の合わせが逆になっている子がいるのは、ご愛嬌。みんな流暢な日本語を話すので驚いた。近々、日本(おそらく高知県)を訪れる予定とのことで、よかったら本校にも遊びにくるように誘った。
 モンゴルは、歴史は長いが、自由主義経済国家としては、まだまだ若い国家である。これまでの先例を睨みながら、彼らが教育に力を入れているのがよくわかる。
 モンゴルの遺伝子は、ほんとうに様々な可能性を秘めている。まもなく開花することを願いたい