sanyomomotaro2006-11-21

11月25日(土) おかやま山陽高校 第3回オープンスクール!
<これで、今年は最終回。まだの人はぜひ参加してね!>
受付:9時00分〜
開式:9時30分〜
内容:吹奏楽部コンサート、キャンパスツアー、部活動見学など
*当日飛び入り参加も可能です。
*中学校の制服で参加してください。
 *お問い合わせはおかやま山陽高校(0865-44-3100)までお願いします。



モンゴル紀行 〜やつらの足音のバラード〜 ⑤

 昼食をキャンプでとった後、再びウランバートルへ向かう。
 相変わらずのデコボコ道だが、慣れてくるとうたた寝できるから、人間の適応力というものはすごい。
 約2時間でウランバートルに。
 モンゴル国の首都ウランバートルの人口は公称70万人だが、地方から首都周辺に移住する者が増えており、実際には100万を超えているという。移住者はゲルを丘の上(=水の便が悪いので、地価が低い)に建てている。ただし、人口増加に人材需要が追いつかず、失業者が増えつつある。
 朝夕のラッシュは激しい。信号の数が少なく、また交通ルールを守る人も少ない。交通事故は多い。道路は舗装されているが、市内でも平らなところは稀。起伏が激しい。
 ウランバートル市の中心にあるのがスフバートル広場である。まさに社会主義時代の名残。中央に革命の英雄スフバートルの像が、一番奥にチンギスハーンの像(現在改修工事中)がある。ちなみに、社会主義時代、チンギス・ハーンは完全に無視されていた。社会主義思想と関係ないものはなかったことにするのが、社会主義のデフォらしい。民主化後、民族主義が復興しつつある中で、国の求心力の柱として、現在チンギス・ハーンが見直されているのだ。
 広場の周囲には自然史博物館、ザナバザル名称博物館(モンゴルのダ・ビンチ)、ガンダン寺(高さ26 mの観音像)など、様々な施設や名所が集結。市民の憩いの場として、バスケットボールのゲームや、ヒップホップダンスのエキジビジョンが行われていた。
 また、広場南西にある郵便局の壁面には、巨大な白鵬の写真が掲げられていた(ある銀行のCMキャラクターになっている)。
 次にガンダン寺に向かう。
 この寺は6年前に完成した高さ26mの大仏で有名。大仏殿の周りにいくつもの拝礼所があり、ラマ僧や仏教学生が多く行き交う。
 モンゴルで一番メジャーな信仰はラマ仏教である。ラマ教は、社会主義時代は邪教として迫害された。革命以前、ラマ僧が裏権力を振るっていた時代があったらしい。現在はラマ教より仏教の性格が強くなっているように思える。
 大仏の周りには10,000もの大小の仏像が安置され、参拝者はどれと言うことなく、拝んでいた。大仏を囲む柵には大きなマニ車(仏典を刻んだガラガラのようなもの。1回転させると1回読経したことになる)がぐるりと設置されており、これを手で回しながら1周する。大仏の写真を撮ると料金を取られる(5,000トゥグルグ)。
 大仏殿の外には、旧大仏に使われていた芯柱が建てられており、参拝者が直接触れることが出来る。芯柱に開いた穴に指を入れたり、唇を当てたりすると長寿などのご利益があるとして、多くの人が群がっていた。
 車はウランバートル市内を抜け、方向を変えて一路空港方面へ走る。
 今日はこれから遊牧民のゲルを訪問するのだ。
ウランバートルから空港の脇を抜けて車で30分ほど走ると、もう見渡す限りの大草原になる。
 空気が澄んでいるので、かなり遠くまではっきり見える。大地はこんなに広かったのか、と感動する光景である。
 建国800年祭のイベント会場のすぐ近くにゲルを構える遊牧民の家にお邪魔し、馬乳酒の接待を受ける。馬乳酒はアルコール度約3%。モンゴルでは幼児から飲み始める。
 この家庭では、馬乳酒は伝統的な皮袋ではなく、ポリタンクで作られていた。大きなどんぶりで供される。『美味いか』、と問われたので、『うん!スッゲー美味い!』と答えた。ごめんなさい、嘘をつきました。いや嘘ではないが、正直、微妙なところ。
 しかし、新鮮な馬乳酒は、呑んでいるうちに爽やかな酸味の中にかすかな甘みを感じるようになる。甘くないマッコリ(韓国のにごり酒)という感じ。飲むほどに身体になじんでくる。滋味あふれるとはこういうことを言うのだろうか。結局、全部飲み干した。ちなみに、モンゴルでは馬乳酒は田舎に行くほど美味い、といわれている。
 同時に、馬乳酒の絞り粕を乾燥させた菓子と、バタークリームを供された。バタークリームは新鮮で、甘みがあり、パンに塗っていただく。これは非常に美味い。ただ、日本人の舌には冷えていないバタークリームはいささか違和感がある。
 このゲルでは、家父長と奥さん、娘らしき妙齢の女性、そして子ども二人を見かけた。家父長は子どもたちからするとお祖父さんになるのかもしれない、とのこと。
 上の子は10歳、筋肉質でゴムマリのような体つき。案の定、モンゴル相撲をやっていると言う。モンゴル相撲をやれるかどうかは3歳の時の徹底した身体検査で決定される。彼はこれに合格したのだ。
 弟はやせっぽちの恥ずかしがりやで、5歳くらい。ただ、モンゴルの子は同年齢の日本の児童に比べて小柄なので、実際は不明。成人は大柄な人が多いので、成長期が我々と違うのかも知れない。
 最後に、ツアコン氏が、家父長に、「なにか欲しいものはありますか」との質問をした。
 家父長の答えは、「肉と、乳と、そのほか食べるもの」だった。もしかすると、観光客向けの教科書的な答えだったのかもしれない。実際、この家には車があったし、ゲルの中にはラジカセなどもあった。
 しかし、この景色の中でのこの答えは実に説得力があった。大地を糧に、最低限の所有物とともに移動生活を営む、モンゴル遊牧民の世界観を表しているように思えた。

*写真は遊牧民の子ども。ガンダン寺の大仏そっくりの、いい顔をしている。