3学期終業式
 平成17年度の学校行事も、今日で一段落です。
 終業式では、副校長から、「人間は外見じゃない、中身で勝負だ!」というのなら、中身をより効率よく見せるために外見を磨くことも必要なのでは、という趣旨の話と、以前このブログでもお願いした骨髄バンクドナー登録のお願いをしました。
 前半の話は、先日、卒業生を対象にご講演を下さった治山社長さんのお話を引用させていただいたものです。
 後半の話は、実は、ブログでお話した友人が、先日、亡くなってしまい、とても悔しい思いをしたので、話させてもらいました。終業式の場にふさわしい話かどうか、非常に悩みました。もちろん、生徒たちが登録できるのは18歳になってからのことで、しかも、登録するかしないかも、まったく個人の自由です。でも、今この瞬間にも適合するドナーを待ち続けている人のことも考え、かつ、今なら気持ちが伝えられるかもしれないと思い、あえて話をしました。
 その後、表彰伝達式と壮行式が行われました。
 表彰伝達式は、空手道部、ゴルフ部、そして、漢字能力検定取得者に対して行いました。壮行式は、全国大会に出場する吹奏楽部アンサンブル打楽器四重奏、空手道部、ゴルフ部に対して行いました。
 最初に今年度も一段落と言いましたが、これは実は一部の生徒についてのみあてはまることで、特に先生たちにとってはこれからが本番です。
 とくに明日は、この4月から入学する新入学予定者が説明を聞いたり、物品を購入したりするためにやってきます。
 同時に、明日、明後日は、すでにお知らせしたように、天満屋ハピータウン鴨方店を会場におかやま山陽高校マイスターフェアが行われます。
 それに続いて、3月20日には土木2年の生徒たちが中国は北京に修学旅行に出かけます。22日にはこれも以前お話した、チボリ公園の花車の修理が完成し、いよいよ納車です。23日には岡山県産の良質の木材を使用した陶芸教室『生石窯(おんじがま)』の落成披露式典があります。
 このように、3月の後半というのは、学校にとっては実はたいへん忙しい時期なのです。(以前は、夏、冬、春の休みには先生も休んでいるというガセビアが信じられていましたが、最近はそうでもないようですね)
 休むまもなく4月からはまた新しい年度が始まります。気持ちを新たに、新入生たちを迎えたいと思っています。



ケニアジタバタ紀行 「大人の職員会議」編

幻の酒チャンガァ

 その後、ギトンガ校長と姉妹校提携に関する具体的な話をするために、職員室での食事会をしばらく中座した。
話を終えて職員室に戻ってみると、K氏とN氏が教職員団とゲラゲラ笑いながら大騒ぎをしていた。聞いてみると、チャンガァの話で盛り上がっていたと言う。
 チャンガァ(”ガ”にアクセントを置いて発音する)はケニアの密造酒である。ケニアではビールやラム酒などが生産されているが、いずれも外国資本であり、値段設定も高く、一般の国民の口にはなかなか入らない。その代わりに広く飲まれているのがこのチャンガァである。
 チャンガァはサトウキビなどを原料に密造されている。密造所は個人の家にあり、手に入れる際は直接密造者のもとに買いに行くか、紹介者を通じて入手すると言う。いずれにしても商店に出回ることは決してない。もちろん、製造するのも購入するのも違法である。
 アルコール度数は製造者によって異なるが、50%とも60%とも言われる。度数を上げるためにメチルアルコールを使っているとも言われる。決して安全な飲み物ではない。
 アフリカの伝統的なアルコール飲料としては蜜酒や乳酒がある。これらは醸造酒であり、いずれもアルコール度数は10%〜17%と低めである。だから、ケニアの現地の人々の間では、これまで蒸留酒を飲む習慣はあまりなかったものと思われる。
 そのようなところに、いつの時代からかははっきりしないが、密造酒のチャンガァが登場した。
ボトル1本、約50円。税金も当然、かかっていない。
 官民一体となっての搾取構造と、それに起因する貧富の差。アルコール中毒が根付くには最高の環境である。
 現在、ケニアの生活習慣上の二大問題が、飲酒(アルコール中毒)と薬物中毒である。
薬物についてはあまり話を聞く機会がなく、薬物の酒類などはわからなかったが、街中でおかしな目つきで昼間からふらふらしているのは大体この薬物中毒者だということだった。その絶対数は多くはないが、凶悪犯罪にもつながりやすく、深刻な問題だということである。
一方のアルコール中毒問題の立役者がこのチャンガァである。
 男たちと話をするときに、こちらが「チャンガァ」という言葉を発すれば、一瞬の沈黙のあと、だれもが破顔一笑する。今回の旅行では多くの現地の人たちと仲良くなったが、その際にキーワードになったのがこのチャンガァであった。
 ケニアでの初日の夜に現地のエイジェントと食事をしているときにこの酒の存在を知った。以後、チャンガァの話題を振ると、大人の男たちは、誰もがにこやかに話に乗ってきてくれる。会話の発端として、実に都合が良かった。しかし、「どこで手に入るの?」と聞くと、とたんに誰もが沈黙する。
 2002年の政権交代の後、綱紀粛正の号令は政官のみならず、民にも発せられた。現在、酒の密造、販売、購入は重罪で、発覚すると裁判所に直行することになるという。
 それでも、いろいろなところで話を聞いた限りでは、ほとんどの成人男性がこのチャンガァを愛飲している様子であった。しかし、外国人にはまずこの酒の入手先は教えてくれないのだと言う。先述の現地エイジェント(在ケニア3年目の日本人)ですら、まだ手に入れたことがない、とのことであった。
 なんでも食べ、何でも飲むことを海外旅行のテーマにしている以上、自分も口にしてみたいと思わなかったわけではないが、これだけは止めておいて正解である。
 帰国後しばらくして、ケニアで密造酒を飲んだ住民約45名が、メチル中毒で死亡したとのニュースを目にした。冒険心は大切であるが、それでも、基本はやはり『君子危うきに近寄らず』、である。