知音寮での一週間
 2月の頭の約一週間、おかやま山陽高校硬式野球部の寮である知音寮に泊り込みました。部長である中原先生が調理科3年生のヨーロッパ修学旅行の団長として出張されており、その間の代打として登板したのです。正確には、泊まったのは2日に一晩くらいの頻度だったのですが、晩御飯はほぼ毎晩、生徒たちと一緒に知音寮でいただきました。
 そこで感じたこと。
まず、生徒たちはとにかく、よく食べる!毎晩、約6升のお米を炊くのですが、それを30人足らずの寮生が、ぺろりと平らげます。生徒によっては、どんぶりに6杯、7杯とお代わりをするツワモノも。
 そうなれば当然、おかずが足りなくなります。そのため、ストックしてあった納豆を4,5パックも机に積み上げてひたすら食べ続ける生徒、自費で塩辛やキムチを買ってきている生徒、後援会からの卵をぶっ掛けて掻き込んでいる生徒。それぞれにいろいろ工夫しながら、飯を腹に詰め込みます。
 それに加えて、彼らはスポーツマンですから、アミノ酸プロテインサプリメント(粉末タイプ)を摂取します。多い生徒では日に5,6回、約500ccの牛乳に溶かしたプロテインを飲みます。これだけでも結構なカロリーでしょう。もちろん、夕食時にも飲みます。
やはり、若さですね。若者が一生懸命、飯を掻き込んでいる様子は、見ていて理屈抜きに気持ちがいいです。
 コーチの佐和田先生の隣の席で、彼らの食べている様子を見ながら食べたのですが、最初はまず、ただただ、圧倒されました。そして、2晩、3晩と重ねるうち、眼前の光景に影響されるのか、自分もえらい勢いでご飯を掻きこむようになります。さすがに丼飯をお代わりはしませんが、1週間で少し太った気がします。少なくとも我々の年で彼らのような食べ方をしたら、半年も経たないうちに身体を壊すでしょう。
 あと、知音寮で嬉しいのは、現在、朝ごはんが充実していること。保護者のYさんの献身的なご協力により、ほかほかでボリュームたっぷり、味もバッチリの朝食が毎朝、用意されます。これが本当にありがたかったです。
 最後に、一つだけ、気になったこと。それは、生徒たちの睡眠時間。
 彼らがこれほど飯を食い、かつ、サプリメントを摂るのは、やはり身体を作りたい、もっと具体的には、筋肉をつけたいからです。ご存知のように、筋肉はトレーニング中に付いたり、太くなったりするのではありません。トレーニング終了後、主として睡眠時間中に、酷使されて壊れた筋組織が新しい組織に置き換わる、その際に筋繊維がわずかずつ、太くなっていくのです。
 これは決してまねをしてはいけませんが、プロのボディービルダーの中には、トレーニングの効果を増すために、練習後すぐに、薬を使って強制的に睡眠をとる人もいるくらいです。そこまでやってはもちろん本末転倒ですが、からだづくりに睡眠がいかに効果的かを物語るエピソードではあります。
 ところが、生徒たちに聞いてみると、毎日6時間以上寝ていると答えた生徒が、半分いるかいないか。練習後、いろいろしたいことはあるでしょうが、これではせっかくの練習やサプリメントが勿体無いというもの。
 生徒諸君、早朝から夕方遅くまで、練習や勉強で忙しい日常ではありますが、睡眠時間だけは充分に取って下さい。