おかやま山陽高校の入試について
 おかやま山陽高校の入試について、一言。
 おかやま山陽高校は、入学したからといってそれだけで価値がある学校では、当然、ありません。卒業して、そして、希望する進路に進んで、初めて価値がある学校です。
 ですから、おかやま山陽高校の入試は、いわばお見合いのようなものです。なにより、お互いの相性を最も重視します。
 もう少し具体的に言えば、まずなにより、その生徒が希望している進路への準備環境が、おかやま山陽高校で間違いないかどうか。つぎに、その生徒が今後3年間、おかやま山陽高校の提供する教育環境の範囲内で頑張ることが出来るかどうか。そして、3年後、おかやま山陽高校の先生たちの力で、その生徒が希望する進路に送り込んであげることが出来るかどうか。
 こういう観点で、私たちは入学試験を行っています。
 岡山県内の受験生諸君、私立高校入学試験まであとわずか。最後のスパート、がんばってください。


それが君の響き
 先週、仮面ライダー響鬼(ひびき)が最終回を迎えました。
 仮面ライダー響鬼は、毎週日曜日の朝8時から放映されていた子供向け特撮番組です。もう40年近く続く、仮面ライダーシリーズの最新版です。
 この番組、寝坊助の息子たちに頼まれて録画しているうち、なんとはなしに見ていたのですが、ある頃から、今回のシリーズのテーマが「大人が子どもに伝えるべきものは何か」であるということに気づきました。(あくまでも私見としてお聞きください。)
 ご覧になっていなかった方のために、簡単に説明します。主人公の響鬼さんは、30代前半。史上初のおじさんライダーです。鬼族の末裔として、巷に跳梁する怪獣(魔化魍:まかもう)を退治する毎日です。
 続いて、仮面ライダーシリーズには子どもが必ず出てきますが、今回の明日夢(あすむ)君、16歳の高校1年生。明日夢君のおうちは母子家庭で、タクシー運転手のお母さんが女手一つで明日夢君を育ててくれています。明日夢君は、クラスによくいる、すべてにおいて「中の上または中あるいは下」といったタイプで、どちらかというと自分に自信のないほうです。
 そんな明日夢君が、ふとしたきっかけで響鬼さんの活躍を目にし、まさにインスパイヤされるわけです。しかし、明日夢君は自信がないゆえに、素直に「自分もあんなふうになりたい」とは決心できません。明日夢君は悶々と悩み、鬼を目指す同世代のライバルたちが、明日夢君の焦りに拍車をかけます。
 一方、鬼は鬼で、それぞれいろいろな立場、事情を持っています。
響鬼さんは、今が絶頂期。鬼族の名門の出であるイブキさんと共に、大活躍しています。斬鬼(ざんき)さんは、轟鬼(とどろき)さんという弟子を育て終え、その道をすでに譲りました。轟鬼さんは、まだまだ若造。熱い情熱は持っていますが、まだ自分を充分コントロールできていません。
さらに、響鬼さんはそろそろ後継者を選んで技を伝承していかなければならない時期に来ています。ところが、響鬼さん自身、自分にその資格があるのか、そうであれば誰を選ぶべきなのか、悩んでいるようにも見えます。
 つまり、登場する人間も、鬼たちも、それぞれ、人生の異なったステージに置かれており、それぞれの悩みや課題を抱えています。
 そこにおいて、これが最も特筆すべき点なのですが、仮面ライダー響鬼に登場する大人たち(ほとんどは鬼族ですが)は、実に大人らしい考え方、振る舞いをするのです。彼らは、子供たちに対してあるべき理想の大人の姿を提示します。
 彼らは決して無条件のヒーローではありません。それぞれに弱さを抱え、悩みながら、自分を鍛え、戦い続けます。命あるがゆえに、死にもします。鬼といえども、限界ある中で最大限の努力をしているだけの、普通の人間となんら変わりない存在なのです。
 そして、それを目にする子どもたちは、そこに自分が理想とする目標(=大人像)を見つけます。現実の自分とのギャップに悩みながらも、そこへの到達に向けて七転八倒しています。
 このドラマでは、ある意味、理想的な大人と子どもの関係が描かれています。
 このテーマを最も端的に説明しているのが、エンディングテーマです。
 布施明の歌う「少年よ」。ありきたりな自分にお似合いのありきたりな将来が見通せてしまうような感覚の中で、戸惑い、あきらめかけている少年に送るメッセージソングです。この歌の下敷きになっているのは、今から10年前、神戸の殺人事件の犯人であった少年が世間に突きつけたメッセージでしょう。
 あの頃、メディアに載せられた「透明な存在」、「終わりなき日常」といった言葉に代表される、現代の少年たちが抱える行き詰まり感(=諦観)に対し、大人の世代は明確な処方箋を与えられないままに現在に至っているような気がします。
 仮面ライダー響鬼は、そのような中で、一つの回答モデルを提示しようとしたように思えます。その意味で、非常に興味深く、面白いドラマでした。
 最終回、響鬼さんの後継者として誰が名乗りを上げ、そして、選ばれたのか。ご覧になっていない方は、ぜひレンタルビデオ屋さんへ。