文化祭、一般公開当日 〜持ち味に気づく喜び〜
 10月29日(土)、文化祭二日目は、一般公開でした。
 当日朝はあいにくの雨模様。でも、おかやま山陽高校の生徒の日ごろの行いが良いからか、昼前には「雨上がる」。
 鴨方町住民で、おかやま山陽高校文化祭の友愛セール&保護者会バザーを知らない人がいれば、その人はモグリでしょう。毎年、校外から多くのお客さんをお迎えし、保護者の皆様からご提供いただいた善意の品々は、生徒たちへの福利物品(ベンチやウオータークーラーなど)の購入資金になるのです。
 セールの開始前に、会長さんはじめ、売り場担当の保護者の皆様にご挨拶にお邪魔しました。
 今年も数多くの品が並んだ中に、なぜかワインの赤白セット(化粧箱入り)が。そして、こちらにはワイヤレスヘッドフォンが、格安で展示されています。これ、こっそりどこかに隠しておこうかなあ…。でも、皆さん、並んでおられるし、それはやっぱ、まずいよなあ…。心の中で天使と悪魔が火花を散らします。
 「それ、やっぱり目に止まりますよねえ」後ろからとある保護者の方から声をかけられ、狙っていたのは自分だけではなかったのを知りました。やはりフェアに行きましょう。
 おかやま山陽高校の文化祭は、一面、マイスター・スクールの成果発表会でもあります。マイスター・スクールも今年で6年目。各講座の展示・発表については、そろそろノウハウと言えるものも構築されてきたようです。このことは、前日の準備が素早く終わる講座が増えたことからもわかります。
 ただ、一方で、毎年見ている立場からすれば、そろそろ新しい工夫がほしいな、と思うのも事実。ただ、マイスター・スクールは毎年履修生が変わるので、これも実はなかなか難しいことなのです。ま、「今後の課題として善処する所存であります」とどこかで聞いたようなせりふでとりあえず流しましょう。
 そんな中、面白かったのは、「カヤックビルド」講座の展示でした。教室の前に鉄のアングル材を組んでビニールシートを張ったプール(5m×1m×深さ50cm)を作り、その中にカヤックを浮かべました。そして、遊びに来た子どもたちを乗せて、揺さぶって遊んであげていました。
サービス系で言えば、定評のレザークラフト体験コーナー、トンボ玉体験コーナーに加え、今年は鳥人間講座のストロー飛行機製作体験コーナーが出来ていました。やはり、遊びに来てくれた人に楽しんでもらえるのが一番ですよね。
また、展示で言えば、墨彩画講座では、作品を制作した生徒の顔写真が一緒に掲示してありましたが、これもまた見ていて楽しいものです。「あぁ、この子なら、こういう作品をかけるんだろうなぁ…」とか、「エッ!?この子がこんな渋い作品を描いたの???」とか、鑑賞する楽しみが二倍にも三倍にも膨らみます。
さらに、今年は、校長先生入魂の「シルクロードの旅展」がありました。展示のポイントは、ウルムチトルファン敦煌などのシルクロード諸都市に今も暮らす人々の顔のクローズアップ写真です。これらの写真は、校長先生が実際に現地を訪れて、摂氏45度を越える猛暑の中、自分で撮影してきたものです。アラビアンナイトの世界の住人と見まがう顔つきの商人や羊飼い、ガンダーラ仏像そっくりの踊り子のお姉さん、うちの息子じゃないかと思うほど日本人と同じ顔つきをした物売りの少年など、我々日本人のルーツがたどれる展示でした。アンケートで投票してくださった方、集計結果を楽しみにお待ちください。なにかいいものが届くかも知れませんよ。
 生石ホールのステージ発表の部も、今年は盛り上がりました。場内整理の担当の先生方も、いつにも増して大変そうでした。来年は、会場を考えなければなりませんね。
 そんな中、どのステージもすばらしかったのですが、一番お客さんが多くなったのは、ダンス同好会のステージだったでしょうか。放課後、あちこちでジプシーのような練習をしている小さな同好会ですが、なかなか楽しめるステージでした。今後はぜひとも、他流試合(校外のコンテストなど)に参加して腕を磨いてほしいものです。
 また、ギター同好会と「洋楽で英語」講座のコラボで始まったライブも良かったです。中庭に会場を移しての、ストリートライブにも多くのお客さんが詰め掛けていました。
 文化祭の醍醐味は、やはり、普段の授業では見えない、いろんな生徒の隠れた才能や特技が垣間見られるところにあると思います。つまり、これこそが、おかやま山陽高校のいうところの「持ち味」なんです。そして、マイスター・スクールの根っこにも、同じ考えが流れています。だから、文化祭とマイスター・スクールは相性がいいのだと思います。
 ところで、生徒からの希望で、「せえんせえ(二番目の“え”にアクセントを置いて読んでください)、なんでカラオケ大会やらんのん?」というのがありました。これも難しいもので、「やるから歌いたい人手をあげて!」と言えば、みんな恥ずかしがります。で、結果的に、先生たちの絶唱に次ぐ絶唱のオンパレードとなり、生徒はしらけてしまうのです。「じゃあ、今年はもう中止にしよう!」といえば、今回のように「やろう、やろう!」です。
 来年は、是非やりましょうよ、カラオケ大会。そのかわり、生徒諸君が責任を持って、歌手を集めてください。そうすれば、すべて上手くいくはずです。多分。
 終了間際、グラウンドで行われたドリル演奏、さすが、という感じでした。午前中の雨で足元が悪い中、お疲れ様でした。とくに、アクロバットのシーンでは、靴の裏に付いた泥がすべるためか、なかなか人間ピラミッドが完成せず、大変そうでした。また、体育館の板張りのフロアと違い、濡れた土の上での足運びは、難しかったと思います。
 それでも、最後のキャッチも見事に決まり、観客の皆様からは惜しみない拍手と歓声が贈られました。