sanyomomotaro2006-12-01

モンゴル紀行 〜やつらの足音のバラード〜 ⑥ 

 ゲルを辞し、一路ウランバートルへ。
 夕食は韓国資本のレストラン複合施設。ビュッフェスタイルのレストランから、うどん屋、高級クラブまでが一つの建物に詰まっている。因みに、海外で日本食レストランに行くと、大概、オーナーは韓国の人。
 ビュッフェは質・量ともに申し分ない。
 ところで、モンゴルには行ってみたいが、食事が心配だという声をよく耳にする。
 モンゴルの現地食は羊肉がメインだが、牛肉、鶏肉もよく食べる。羊肉は独特の香りが強いが、むしろ香ばしく、風味がよい。また、現地の人は昔は一切、野菜・穀類を食べなかったとのことだが、現在はサラダや米、麺類(うどんに似ている)も食べる。
 モンゴル食以外にも、包子などの中華料理、本格的なインド料理、ピザ、韓国料理、日本料理が食べられる。現地の人には韓国風焼肉が人気があるとのこと。
 ホテルやキャンプでは、外国人向けにアレンジしたものや、完全な洋食ビュッフェなどが食べられる。だから、現地食が苦手な人もまったく心配ない。
 市内の市場では、冷蔵庫もないところで、台の上にホカホカの羊の各部位が切断されて並べられていた(写真は撮れなかった)。
 また、東欧諸国との商業ルートがまだ生きているのだろう、キャビアが格安で手に入るとのことであった。これは帰路の都合上、あきらめざるを得なかったが。
 食事後、今宵の宿、フラワーホテルに向かう。
 フラワーホテルは、オーナーが日本人で、日本式大浴場がある。ツインの部屋は充分広く、バスも問題なし。テレビもチンギスホテルに準じる。LANはあるが、端末は持ち込まなければならないようだ。
 中庭にはオープンバーがあった。一角にゲルが建ててありその中もバーであった。
 面白半分に入ってみると、テレビが据えてあり、バーのスタッフらしき男女がバラエティ番組を見て笑っていた。我々が席についてもテレビに夢中なままだったが、オーナーらしき中年の男性が入口から覗いてきつめの口調で何事か言うと、しぶしぶ出て行った。
 ここではチンギスビール、チンギスウォッカのほか、洋酒全般が置いてあった。壁を見ると、汚い皮袋が吊るしてある。民芸品だろうと思っていると、先ほどのスタッフの男のほうが客を連れて入ってきて、その皮袋から馬乳酒を汲み出した。男性は一口飲んで、何か「OK!」という感じのことをスタッフに言っていた。我々が見ているのに気づくと、こっちに向かって「けっこういけるよ。飲んでみな(完全に推測です、ハイ)」という感じで何かを言って、上機嫌で出て行った。
 「飲んでみようよ」とツアコン氏に持ちかけたが、「いやいや、僕はもう」と固持された。ので、一人で注文して飲んでみた。
 結果、「馬乳酒は田舎ほど旨い」という格言(?)の正しさを、自身の舌をもって確認したのであった。なにかか塊が浮いてる。でも、まあ、さっきの客も飲んでるんだから大丈夫だろうと、飲んだ。
 テレビをNHK―BSに合わせると、スポーツニュースをやっていた。プロ野球カープ戦が10回延長に入ったそうだ。リアルタイムというのが不思議な感じ。
 このバーのほか、フラワーホテル内には売店があり、一つはお土産屋、もうひとつはカシミア製品専門店。お土産屋は全般的に割高。たとえば岩塩は市中価格600トゥグルグのものが、2ドル(約130円)。ペットボトル入りの馬乳酒も売っていた
 が、ここのバーでの馬乳酒の味を思うと、買う気にはならなかった。
 カシミアの店も、卸価格を謳ってはいるが、市中の個人経営のブティックのほうが安いとのこと。
 なお、フラワーホテルには角川映画蒼き狼」のスタッフが大挙して泊まっており、業界人独特のノリではしゃいでいた。ため息交じりの「明日もお払いがある」という声が聞こえてきたのには笑った。
 結局大浴場には入らず、シャワーを浴びて寝た。
 モンゴルの人は夏はともかく、冬はあまり入浴しないとのことだった。昔は入浴習慣そのものがなかったそうだ。乾燥した高原性の気候に暮らす人々には入浴はあまり必要ないのだろう。
 明日はいよいよ最終日。忙しい日程だ。

*写真:「なんにもない、なんにもない、まったくなんにもない・・・」