保護者のみなさんの卒業式

 例年、卒業式の後には、保護者会役員・評議員会の主催で、3年生の保護者会役員・評議員の皆さんをお送りする歓送会が開かれます。
 今年は3年生の保護者の方々のご参加が非常に多く(25名)、例年にも増して盛会となりました。
 この会では毎年、親としてどんな気持ちで3年間を過ごしてきたか、みなさん、その想いを語られます。今年も、「少しでもわが子のためになれば」との想いで3年間頑張ってきてくださったさまざま方の思いをお聞かせいただきました。お話を聞いているうちに、お父さんお母さんたちのお顔がそれぞれのお子さんたちの顔とだぶり、子どもたちは、それ以上に、われわれ教員は、このようなお気持ちを、果たしてどこまで理解してこれたのだろうか、との感慨にとらわれます。
 いちばん嬉しいのは、いままであまり話さなかった子どもが、卒業式の前の日に「お父さん、お母さん、山陽高校に行って本当によかった。3年間、ありがとう」と言ってくれた、というお話を聞いたときです。あの年頃で、このような気持ちを親に伝えるのには大きな勇気がいったことでしょう。
 また、おかやま山陽高校の保護者会ほど、「子どもが卒業できて嬉しいけど、自分はおかやま山陽高校を卒業したくない」と言って泣かれる保護者の方が多いというのは珍しいのではないでしょうか。
 最初はみなさん、「じゃんけんで負けてしまって」と言いながら、あるいは、「任期は1年間かと思ってました。3年間もあるんですか?!」と言いながら、保護者会に入ってこられます。じゃんけんの神様が、おかやま山陽高校の保護者会に合った人をわざと負けさせてくれるのでしょうか、それとも、先輩保護者の皆様の懐の深さがなせるわざでしょうか。
 今年も、あるお母さんは、歓送会の途中で「もうすぐ会が終わってしまう。ここで時間が止まればいいのに」とずっと泣かれていました。また、別のお母さんは、われわれに「先生、これがおかやま山陽高校の宝物よ。上の子を何人も高校に行かせたけど、こんな保護者会(PTA)はどこにもないよ」と教えてくださいました。本当にその通りだと思います。
 毎回ご夫婦そろって参加し続けてくださった方、上のお子さんの在学期間と合わせて5年間あるいは6年間、保護者会の役員を務めてくださった方、1,000km以上も離れた単身赴任先からほぼ毎回通ってこられた方、カラオケになるとプロ顔負けの歌や振り付けでみんなの度肝を抜いてくれた方。ここには書ききれませんが、みなさん方ひとりひとりが、多くの思い出と、いろいろなご示唆をわれわれ教員に残してくださいました。
 逆に、3年生の保護者の方のなかでも、まだ1,2年生に弟、妹が在籍しているような方は、「うちはまだ来年、再来年があるから」と余裕の表情です。それに対して、本気か冗談か「もう1人子どもを作っとけばよかった。あとは孫の時にまた来るしかないなぁ」と悔しそうな声が聞こえます。
最後は送られるほうも、送るほうも、みなさん、涙、涙のお別れとなり、歓送会は幕を閉じました。
 一つ明るい話としては、ここで出来た友人・知人関係をこのまま終わらせるのはあまりにももったいないということで、以前から休眠状態にあった「小山城会(こやまじろかい:保護者会OB会)」を本格的に復活させようとの機運がいっきに高まっています。子どもが卒業した後も、縁あって知り合ったのですから、今後も一生を通しての友人同士として、いい関係を続けていこうというわけです。これからの展開が楽しみです。
 最後になりましたが、今年の3年生の保護者会の皆様、パッと(P)楽しく(T)明るく(A)がモットーのN会長を中心に、本当に多くの局面でお世話になりました。今後とも、おかやま山陽高校の応援をよろしくお願いします。