頑張れ笠原! 日本アマチュアゴルフ選手権
 7月5日(火)から鳥取県の大山ゴルフクラブにて第90回日本アマチュアゴルフ選手権競技が開催されていますが、初日、本校卒業生の笠原広規選手(I・P・C・A所属)はトップタイで回りました。皆さんの応援のおかげと、感謝しています。しかし、トップには初日、5名もの選手がタイで並んでいますので、ここからが正念場です。笠原君も、ここでプロへの挑戦をしなければなりません。その一歩として、今回の日本アマでは良い成績を残して欲しいところです。
 皆さんのさらなる応援をよろしくお願いします。



ケニア ジタバタ紀行 「おえりゃーへまーが」編

その1 瓢箪からドバイ見学

いきなりブッキングミス
 ケニアをはじめとする東アフリカ諸国への実質上の空の玄関口は、アラブ首長国連邦にあるドバイ空港である。
 関空を出たエミレーツ航空のドバイ直行便は、定刻にドバイ空港に到着した。予定ではここで1時間半の待ち合わせの後、ケニア行きの飛行機に乗り換えることになっていた。ところが、旅行業者の手違いにより、ナイロビ行きの乗り継ぎ便が誤って予約されており、ドバイ空港で突如、約6時間の待ち合わせ時間が発生した。これがわかった瞬間、一同の口からは「おえりゃーへまーが!」。同日午後6時にはナイロビで知人と会う約束になっていたため、急いで連絡、予定を変更してもらった。
 同時に、同日夜のケニアでの宿泊地は、ナイロビから約160kmの距離にあるナクルとなっており、移動手段が車にしていたため、同日中にナクルにたどり着くことは不可能となった。そのため、宿泊地をナイロビ市内に変更する手続きをとった。
 連絡には約1時間を要したが、その間、空港ロビーで乗り継ぎ待ちをしていたインドネシアからの巡礼団の人々と会話をしてすごした。彼らの待合時間が約17時間と聞いて最初は驚いたが、これは金銭的に余裕が無い巡礼団の人々にとって珍しいことではないらしい。みんな当たり前のような顔をして、はだしになってロビーのカーペットの上で寝ながら搭乗時間を待っていた。
 我々はドバイでの6時間を空港内で無為に過ごすわけにもいかず、一旦ドバイで出国することにした。旅行業者に国際電話で詰め寄って市内観光ガイドをアレンジしてもらい、タクシーにて市内観光をすることになった。

ドバイ首長国について
 ドバイはアラブ首長国連邦に属する一首長国である。本来の産業は産油であったが、埋蔵原油の枯渇を約40年後に控え、現在、観光と貿易の町に変身しつつある。そのため、市内では高層ビル、高速道路、リゾートホテルなど、最新のインフラの整備が振興しつつあった。
 アラブでは国内に緑がどれくらいふんだんにあるかがその国の勢いを表す指標と考えられており、各国では自動灌漑設備を整備し、街路樹、芝生の育成に力を入れている。水はすべて海水淡水化プラントによってまかなわれている。
 また、原油による収益で国費がまかなわれており、住民は税金を納める必要はない。さらに、水、電気、医療費、そして電話までが無料である。
 ドバイ人口の約20%はドバイ国民で、残りの約80%は外国人である。外国人の多くはアジア、アフリカ、中近東諸国からの出稼ぎ労働者である。ここドバイでは純血主義が徹底されており、たとえば、外国人女性がドバイ国民男性と結婚しても、ドバイ国籍を取得することはできない。
 その一方で、ドバイでは外国人労働者に対して自国民とほぼ同等の生活上の諸権利を認めており、出稼ぎ労働先としての環境は世界でも最高レベルである。
 ただし、何らかの問題を起こした場合は非常に厳しく罰せられ、直ちに国外退去処分となる。そのため、外国人労働者は問題を起こして国外退去になるよりは、おとなしく働いて長く逗留することを望むようになり、結果的に外国人労働者による犯罪は非常に稀である。犬猿の仲であるはずのヒンドゥー教徒イスラム教徒が、ドバイ国内では同じ現場で仲良く働いているという。
 また、企業に勤務する外国人や自営業を営む外国人については、必ず一人、ドバイ国民の名義人を立てることが義務付けられている。名義貸し料は一人当たり年10万円程度で、ほとんどのドバイ国民が複数の外国人に名義を貸しており、それだけで生活費のほとんどをまかなえるということである。
 このように、ドバイの国内居住外国人に対する姿勢は、日本のそれとは大きく異なっている。ドバイでは、外国人の居留・労働に関して厳しい基準を設ける一方で、一旦入国した者に対しては福利厚生等について自国民と同等の権利を与えている。これにより、自国民と外国人との共存が円滑に実現している。人口減少期を迎え、外国人居留者の増加が予測される日本にとって、参考にするべき部分が多くあると思われる。もちろん、これもオイルマネーあってのこととは思うが。
 また、ドバイは観光国として力を入れており、リゾート地としては最高クラスのポテンシャルがある。ただし、物価は決して安くなく、多くの出費が前提となる。
 ドバイでは観光ガイドに恵まれた。担当のIさんはドバイのみならずイスラム文化・社会全般に非常に造詣が深く、どのような質問に対してもわかりやすく的確な答えが返ってきた。氏のおかげで手違いから生じた待ち合わせ時間が転じて多くの収穫をもたらす結果となった。
まさに瓢箪から駒ならぬ、瓢箪からラクダ、瓢箪からドバイであった。

*この文章は、平成15年3月、ケニア・イリギターティ中等学校との姉妹縁組に際して、同行を訪問した際の記録を再構成したものです。